会社員として働いていると、年末になると会社から「年末調整の書類を提出してください」と言われることがあります。
でも、
「年末調整って何?」
「毎月所得税を払っているのに、なぜ年末にまた計算するの?」
「税金が戻ってくるってどういうこと?」
「確定申告とは何が違うの?」
と疑問に思う人も多いでしょう。
年末調整とは、1年間に給与から源泉徴収された所得税と、本来納めるべき所得税との差額を精算する手続きです。
この記事では、税金についてまったく知らない人でも分かるように、年末調整の仕組みを解説します。
1. 年末調整とは?
会社員の給料からは、毎月「所得税」が差し引かれています。
これを源泉徴収といいます。
しかし、毎月差し引かれている所得税は、その時点では1年間の正確な所得や控除がすべて確定していません。
そこで年末に、1年間の給与や各種控除などを確認して、
「本当はいくら所得税を納める必要があったのか?」
を計算し直します。
これが年末調整です。
簡単にいうと、
毎月先に払っていた所得税を、年末に正しい金額へ調整する手続き
です。
2. なぜ年末調整をするの?
例えば、1年間に給料から所得税を合計20万円引かれていたとします。
年末に1年間の所得や控除を計算したところ、本来納めるべき所得税が15万円だったとします。
すると、
20万円-15万円=5万円
となります。
5万円多く納めていたため、その差額が戻ってくることがあります。
反対に、
源泉徴収された所得税:15万円
本来納める所得税:18万円
だった場合、
18万円-15万円=3万円
となります。
この場合は、3万円不足しているため追加で納めることになります。
つまり、
払いすぎている → 還付
足りない → 追加徴収
となります。
3. 源泉徴収と年末調整の違い
「源泉徴収」と「年末調整」は似ていますが、役割が違います。
源泉徴収
毎月の給料などから、所得税をあらかじめ差し引く仕組み。
年末調整
1年間の所得税を計算して、源泉徴収された金額との差額を精算する手続き。
イメージすると、
毎月
給料
↓
所得税を先に納める
↓
「源泉徴収」
↓
年末
1年間の所得・控除を計算
↓
本来の所得税を計算
↓
差額を精算
↓
「年末調整」
という流れです。
4. 年末調整では何を確認する?
年末調整では、1年間の給与だけではなく、さまざまな控除についても確認します。
代表的なものには、
- 基礎控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 所得金額調整控除
- 住宅ローン控除
などがあります。
ただし、すべての人がすべての控除を受けられるわけではありません。
それぞれに条件があります。
5. 年末調整で税金が戻ってくるのはなぜ?
年末調整で「税金が戻ってきた」という経験がある人もいるでしょう。
これは会社からボーナスをもらったわけではありません。
それまでに給料から差し引かれていた所得税が、実際に納めるべき税額より多かったため、差額が戻ってきたものです。
例えば、
1年間の源泉徴収額:20万円
本来の所得税:15万円
なら、
20万円-15万円=5万円
となり、5万円が還付されることがあります。
6. 逆に税金が追加で引かれることもある
年末調整では、必ず税金が戻ってくるわけではありません。
例えば、
1年間の源泉徴収額:15万円
本来の所得税:18万円
だった場合、
18万円-15万円=3万円
となります。
この場合は3万円不足しているため、追加で徴収されます。
そのため、
「年末調整=お金が戻ってくる制度」
ではありません。
正しくは、
「1年間の所得税を正しい金額に精算する制度」
です。
7. 配偶者控除・扶養控除との関係
年末調整では、家族の状況も重要になります。
例えば、
夫:会社員
妻:パート
という家庭の場合、妻の所得などが一定の条件を満たすと、夫が配偶者控除や配偶者特別控除を受けられる場合があります。
また、子どもや親などについても、一定の条件を満たす場合には扶養控除の対象になることがあります。
ただし、
「家族がいる=必ず控除を受けられる」
というわけではありません。
年齢や所得などの条件によって変わります。
8. 生命保険料控除とは?
生命保険などに加入して保険料を支払っている場合、一定の条件を満たせば生命保険料控除を受けられます。
年末調整では、保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」などを使って申告します。
生命保険料控除には、
- 一般生命保険料控除
- 介護医療保険料控除
- 個人年金保険料控除
があります。
控除を受けることで、所得税を計算する際の所得が少なくなり、結果として所得税が少なくなる場合があります。
9. 住宅ローン控除と年末調整
住宅ローンを利用して住宅を購入した場合、一定の条件を満たせば住宅ローン控除を受けられます。
住宅ローン控除は、所得から差し引く「所得控除」ではなく、計算された所得税額から直接差し引く税額控除です。
例えば、
所得税:20万円
住宅ローン控除:20万円
の場合、条件を満たしていれば所得税が0円になる場合があります。
ただし、住宅ローン控除を初めて受ける年は、原則として確定申告が必要です。
2年目以降は、一定の条件を満たせば年末調整で手続きできます。
10. 年末調整で提出する書類
年末調整の時期になると、会社からさまざまな書類の提出を求められます。
代表的なものは、
扶養控除等申告書
基礎控除申告書
配偶者控除等申告書
保険料控除申告書
などです。
住宅ローン控除を受ける場合には、必要な書類を提出することもあります。
会社によっては紙ではなく、Web上で入力する形式になっている場合もあります。
11. 年末調整だけで税金の手続きは終わる?
会社員だからといって、必ず年末調整だけで終わるとは限りません。
例えば、
- 副業をしている
- 医療費控除を受けたい
- 住宅ローン控除の初年度
- 2か所以上から給与を受け取っている
- 年末調整では処理できない控除がある
などの場合には、確定申告が必要になることがあります。
つまり、
会社員=確定申告不要
ではありません。
12. 副業をしている場合は?
例えば、
本業:会社員
副業:個人事業
という場合。
会社では、本業の給与について年末調整を行います。
しかし、副業については別途所得を計算する必要があります。
副業の所得や状況によっては、確定申告が必要になります。
そのため、
会社の年末調整
と
副業の確定申告
は別々に考える必要があります。
13. 年末調整と確定申告の違い
| 年末調整 | 確定申告 | |
|---|---|---|
| 誰が行う? | 会社 | 自分 |
| 主な対象 | 給与所得者 | 個人事業主・副業をする人など |
| 主な目的 | 給与に関する所得税の精算 | 1年間の所得・税金を申告 |
| 時期 | 年末 | 原則として翌年 |
| 会社員でも必要? | 対象者は原則会社が実施 | 条件に該当すれば必要 |
簡単にまとめると、
年末調整=会社が行う税金の精算
確定申告=自分で行う税金の申告
です。
14. 所得税と住民税の違い
年末調整について理解するときに、所得税と住民税の違いも知っておくと、給与明細や税金の仕組みがさらに分かりやすくなります。
所得税と住民税は、どちらも所得に応じて負担する税金ですが、納める相手や計算の仕組み、支払うタイミングが異なります。
| 所得税 | 住民税 | |
|---|---|---|
| 税金の種類 | 国税 | 地方税 |
| 納める先 | 国 | 都道府県・市区町村 |
| 基本となる所得 | その年の所得 | 前年の所得 |
| 給与からの天引き | 源泉徴収 | 特別徴収 |
| 年末調整 | 会社が行う | 住民税そのものを年末調整するわけではない |
| 給与天引きの時期 | 毎月の給与など | 原則6月~翌年5月 |
所得税は「その年」の所得をもとに計算
所得税は、基本的にその年の所得をもとに計算します。
会社員の場合、毎月の給与から所得税が源泉徴収され、年末に年末調整によって精算します。
住民税は「前年」の所得をもとに計算
一方、住民税は前年の所得をもとに翌年度の税額が決まる仕組みです。
例えば、
2026年に働いて得た所得
↓
その所得をもとに住民税を計算
↓
2027年度の住民税
↓
会社員なら原則として2027年6月~2028年5月に給与から天引き
という流れになります。
そのため、
「去年はたくさん稼いだのに、今年になって住民税が高くなった」
ということが起こります。
所得税と住民税は似ていますが、**「いつの所得をもとに計算するのか」**が大きな違いです。
15. 実際のお金の流れを見てみよう
会社員のAさんを例にしてみます。
1年間で、
給料から所得税を20万円源泉徴収
されました。
年末に給与や控除などを計算したところ、
本来の所得税は15万円
だったとします。
すると、
20万円-15万円=5万円
となります。
この5万円が還付されます。
逆に、本来の所得税が23万円だった場合は、
23万円-20万円=3万円
となり、3万円が追加徴収されます。
16. 年末調整で戻ってくるお金は「得したお金」?
年末調整でお金が戻ってくると、
「得した!」
と思うかもしれません。
しかし、基本的にはそういうわけではありません。
例えば、
本来払う税金が15万円なのに、20万円先に払っていた場合、
5万円を払いすぎていた
ことになります。
そのため、5万円が戻ってきただけです。
つまり、
年末調整の還付金=払いすぎていた所得税の返金
と考えると分かりやすいでしょう。
17. まとめ
年末調整とは、
毎月の給料から先に支払っている所得税と、1年間で本当に納めるべき所得税との差額を精算する手続き
です。
ポイントをまとめると、
1. 毎月の給料から所得税が源泉徴収される
2. 毎月の源泉徴収額と最終的な税額は一致しないことがある
3. 年末に1年間の給与や控除などを確認する
4. 払いすぎていれば税金が戻ってくる
5. 足りなければ追加で税金を納める
6. 配偶者控除や生命保険料控除なども関係する
7. 会社員でも、副業などがあれば確定申告が必要になる場合がある
年末調整は、単に「年末にお金が戻ってくる制度」ではありません。
1年間の所得税を正しい金額に調整するための手続き
と覚えておきましょう。




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